ISO45001発行の背景は?
企業等の組織には、その事業活動に起因する影響や被害が、人々(従業員、管理職、請負者、訪問者等)に及ぶリスクを最小限に抑える責任があります。
特に、その組織の事業として、これらの人々が「業務」の一環で行う活動であればなおのことです。
ILO(国際労働機関)の推定では、労働災害など業務に起因する死亡数は2013年で約234万人でした。
その第一位は、負傷ではなく疾病で、実に約200万人を占めていたのです。
IOSH(労働安全衛生研究所)によれば、職業がん(業務に起因するがん)の死亡数は1年間に推定66万人にのぼります。
ISOでは、OH&S(労働安全衛生)マネジメントシステム(ISO 45001)の作成に取組んでいます。
これは、このOH&Sシステムを使用する企業等が労働安全衛生に関するリスクを管理し、そのパフォーマンスを向上できるよう意図したものです。
このシステムの導入は、組織にとっては戦略的な判断となるでしょう。
なぜならばこのシステム導入で、持続可能性への取組みを支援し、確実に人々がより安全かつ健康的となるよう導き、そして同時に収益性の向上にも繋げ得るものだからです。
注 :“OSH=occupational safety and health(直訳は「労働安全衛生」)”は “OH&S=occupational health and safety(直訳は「労働衛生安全」)”の代わりに使用されることが多い。
組織の事業活動は、そこで働く人々に傷害と疾病のリスクをもたらし、深刻な健康被害、時には死亡につながることさえあります。
結果的に、組織にとっては、適切な予防的対策を取ることで労働安全衛生リスクを取り除く、もしくは最小化することが、極めて重要なことになるのです。
組織のOH&Sマネジメントシステムは、その組織が持つ「事故を防止しようとする意図」を、(適切な手法・ツールの使用に支えられている)体系的・継続的な一連のプロセスに、言い換えることができます。
また、積極的に労働安全衛生のパフォーマンスを向上させるために、組織のコミットメントを強化することもできます。
労働安全衛生リスクに最も近いところで働く人々が、そのリスクに詳しくなるのは当然のことです。
このため、従業員がOH&Sマネジメントシステムの構築、導入、維持管理に参画することは、リスクを効果的に、そして確実に管理する上で重要な役割を果たします。
ISO 45001では、OH&Sマネジメントシステム機能において従業員参画の必要性を強調していますし、同じようにISO 45001は組織に対し、従業員が各自の作業タスクを安全に実施する能力を有することを確保するよう求めています。
【ISO45001 briefing note引用(弊社訳)】